AS Romaあれこれ

ASRomaの小ネタ的な投稿をしていきます。軽い気持ちで読んでもらえると嬉しいです🙇‍♂️

AS Romaと3バックと

かなり久々の更新になります

今季のローマですが、23節終了時点で13勝5敗5分の成績で暫定3位につけています。首位を走るナポリが異次元的な強さである事を考慮すると悪くない位置でしょう(しかもナポリ戦は2回消化済み)

 

そんな中でも、つまらない、個人能力に頼りなど不満の声も多く、3バックをやめて4バック待望論を目にすることもチラホラ。実際私も4バックを見てみたい1人ですが..

 

今回はローマが何故3バックで戦い続けるのか個人的考察を書いてみようと思います。

なお、フォーメーション図的なものは用意できなかったのでそれぞれ脳内で思い描いていただけると幸いです、

 

ローマの基本的な戦い方

基本システムは3-4-2-1、守備時には5-3-2へと両WBとシャドー1人を1列ずつ落とす形がよく見られます。

敵陣で相手がビルドアップをしている時はマンツーマンプレスでショートカウンターを狙い、自陣では中央を固めた5-3ブロックでサイドに誘導し奪いロングカウンターをというのが主な戦い方だと思います。

ボール保持時は3バックがフラットな位置関係で回して引きつけ、フリーとなるWBとシャドーが前進させる、手詰まりの場合は迷いなくロングボールを選択します。

セットプレーも大きな武器となっています。

セットプレー以外で三列目以下の選手の得点がほとんどない事も特徴です。

 

チームの大まかな特徴をまとめると、ボールを積極的に保持して戦うのは苦手としているが、守備が非常に堅くカウンターやセットプレーを活かして最小スコアで勝利を目指すチームだと言えるでしょう。

 

なぜ3バックで戦うのか?

個人的考察になりますが大きな理由は

1. 5レーンをカバーできるシステムである

2. ウィンガー、SBの人材難にある

と考えています。

 

5レーンをカバーというのは平たく言うとピッチの横幅を満遍なく守れるという事です。

今季のセリエで猛威を振るうナポリがわかりやすいのですが、WGが動いて空けたレーンにSBや中盤の選手が上がって来て多くの選択肢を作り数的有利を生み出す形を狙ってくるチームが近年増えているように感じます。

この相手に、4バックだと中盤の1人がサイドにサポートに行ったり最終ラインに加わったりと対応しますが、これには戦術的に高い熟練度が必要で尚且つ選手への負担も非常に大きくなります。

その点ローマの3バックはWBを下ろして中盤が中央とハーフスペースをブロックするというシンプルな可変で概ね対応できており、敗れはしましたが実際に許した3ゴール中2発が普通のFWでは決まらないものであり、2試合とも絶好調のナポリを苦しめたと言えるでしょう。

DFラインが5レーンを埋め中盤が中央スペースを消すやり方はナポリ以外の相手にも概ね有効であり、失点期待値15.8という数値がその効果を物語っています。

 

2つめのWGとSBの人材難についてです。

現在のローマにはサイドでの局面打開力に優れた純粋なWGは冬に新加入のソルバッケンのみです。エルシャーラウィやザレウスキもWGとしてプレイ可能とは思いますが、前者は中央よりで仕掛ける事を好み、中央の選手と近い距離感でプレーするスタイルに変遷してきました。適性がシャドー化したと言っても良いかもしれません。

ザレウスキはトップレベルで4バック時の経験が乏しく正直未知数です。

このようにWGを置くには駒不足感が否めません。

 

 

SBに関しても、純粋なSBとしてプレー経験があるのは左がスピナ、右がチェリク、カルスドルプ、(一応スピナも)とこちらも枚数が不足しており、チェリク以外の2人はいわゆる攻撃的なSBであり、守備時に相手の優れたWGと対峙するとなると正直不安も残ります。

しかし、WBに求められる推進力や激しく上下動できる機動力とスタミナはザレウスキ含めて4人とも備えており、4バックのSBよりも3バックのWBの方が選手の特性にマッチしてると言えるでしょう。

 

今のメンツだと純粋なWGの活きる場が少ないという3バックの特徴の割をくらうのがソルバッケンのみとなり、チーム全体としては選手の特徴に合わせた戦い方であると言えます。

ソルバッケンはトップレベルではほぼWGとしてしかプレーしていませんが、技術が高くクレバーな選手なので時間はかかるでしょうが、シャドーの役割にも適応してくれるでしょう。

 

ローマの3バックの課題は?

個人の見解ですが、課題の多くは攻撃面にあり、確率の低いロングボールの多用とディバラがいない場合の創造性、三列目の以下の選手の得点機会の少なさは上を目指すためには改善する必要がありそうです。

 

今のローマは重心が低く、ボール奪取時も3CBと2DMはバランスを保ち無理に攻撃参加することが基本的には少ないので、前の3人+WBで攻撃を完結させる必要があり、その結果として上記のような状況になっていると考えます。

 

また、ビルドアップの際に3CBがフラットに並ぶことが多く、ボールを前進させる手段のバリエーションやポジションの入れ替え方が制限されて危険なエリアに人数をかける事が難しいというのも大きな理由でしょう。

 

ローマ3バックに進化はあるか?

ローマと同じく3バックを採用していながら高い攻撃力を誇るインテルアタランタに注目してみましょう。

フォーメーションや配置に若干の違いはありますが、注目して欲しいのは攻撃時のCBの役割です。

インテルのディマルコ&バストーニ、アタランタのハテブール&トロイは中盤の選手と位置を入れ替えながらフリーの選手を作り出し前進、展開して、そのままゴール前や危険なエリアに顔を出して得点に絡むという形が非常に多いと感じます。

ポジションチェンジを使いながら縦への推進力を生み出したり、ボールサイドの密集を利用して逆サイドのWBやCBをフィニッシュに絡ませたりと柔軟な選択肢を持っている事が破壊力の要因なのかもしれません。

もちろんこれには高い戦術理解度やゲームを読む力が必要となりますが、マンチーニもイバニェスもまだまだ伸び盛りで、高いレベルの相手と対戦するごとに徐々に改善されていくのかなと楽観視しています。

 

※追記

ザルツブルク戦の前半、クリスタンテが下がってリスク管理しつつ、マンチーニがザレウスキの動きに合わせてオーバーラップ、インナーラップする形を多く見る事ができました。

2人の距離感は非常によく、ザルツブルクの選手はかなり手を焼いていたように見えます。

 

また、右サイドで密集を作り、ディバラがサイドチェンジで完全フリーの左に届けるパターンも数回見られました。

 

この形を意図的に増やして練度を上げていけば大きな武器になるのではと感じます。

またスピナッツォーラに対しては彼の縦への個人で生み出せる推進力を活かすために、無理に上がってまでサポートする必要はないのかなと思います。

 

まとめ

モウリーニョ監督は頑固で、何よりも規律を重要視します。

広大なピッチを11人で守るために創造性やリスクを冒す仕掛けを犠牲にして鉄壁を築きつつあります。

個人的には規律を重んじ、良い攻撃は良い守備からの路線を続けていくことを望みます。

確かにローマの3バックは重心が重く創造性やワクワク感に物足りなさを感じますが、進化の余地はまだまだありますし、ザルツブルク戦では改善の兆しを見せつけてくれました。

 

CL圏やスクデットを目指しながら、FFPとも向き合う必要があるローマ。そんな中で現有戦力を活かし、長期的に安定して勝ち点を狙える戦い方、それが3-4-2-1なのかもしれません。

 

最後に、これらは全て個人の意見解釈になります。これは違うぞ的なご意見などあればコメントでもなんでもご指摘いただけたら幸いです..